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【インタビュー】プロアスリートに学ぶ「身体をつくる食事とオイル」~プロ車いすランナー廣道純氏

パラリンピック日本記録保持者である「プロ車いすランナー廣道 純」氏にトップアスリートであり続けるために必要なことを教えていただきました。

トップアスリートであり続けるために必要なこと

<プロフィール>

廣道 純/プロ車いすランナー

1973年生まれ、大阪府堺市出身。1989年、バイク事故により脊髄損傷、車いす生活となる。17歳でいすレースの世界へ。2000年、シドニーパラリンピックで800m銀メダル獲得。2004年、日本初のスポンサー契約で活動するプロアスリートとして独立、同年アテネパラリンピック800mで銀メダル獲得。2008年北京パラリンピックでは800mで日本新記録をマーク、出場4種目中3種目で入賞を果たす。2012年ロンドンパラリンピックでは800m6位入賞。現在400m800mの日本記録保持者。

東京パラリンピックは通過点。目指すは2028年のロサンゼルス

2004年にプロの車いすランナーとなって以来、レースに出場することが僕の仕事です。ほかにイベントに参加したり、コメンテーターをやったり、いろいろなものに関わることで障がい者スポーツの情報発信をしている現役アスリートです。初めて車いすレースに出たのが17歳ですから、競技歴はもう27年になりました。健常者のアスリートならば、ひとつの競技の第一線で四半世紀以上活躍することは困難かもしれませんが、車いすレースの世界記録保持者は現在59歳です。びっくりでしょう? さすがにレースで優勝することはなくなりましたが、それでも世界のトップクラスと肩を並べ、今も戦っています。そういう素晴らしいお手本がありますから、僕も東京パラリンピックが視界に入っているのは当然で、むしろそこは通過点だと考えています。パラリンピックは2024年がパリ、2028年にはロサンゼルスで開催されますが、ロスには僕が20歳のときに「弟子にして欲しい」と会いに行った敬愛する前世界チャンピオンが住んでいるんです。2028年、僕は54歳。今の世界記録保持者よりも若いですから、十分可能性はあります。かならず日本代表として出場し、彼のもとを訪れ、「あなたのおかげでここまで来られました」と報告したいと思っています。

車いすレースの日本記録は、現在400mと800mを保持しています。最多のときは1500m、5000m、1万m、フルマラソンの6つを同時に持っていました。車いすレースは、障がいのレベルでクラス分けされているのは800mまでです。僕は腹筋と背筋が効いていないクラスなのですが、1500m以降の種目は腹筋、背筋が使える選手と一緒に戦わなくてはいけないんです。これは柔道やボクシングで言えば、軽量級の選手が重量級と戦うようなもので、大きなハンデになります。かつてはそれでもトップを取れていたのですが、今はパラリンピックでも二度メダルを獲得した800mをメインの種目としています。

 

第一線で活躍し続ける体を支える「食」

アスリートとしての体を維持することについて、昔は深く考えていませんでした。好きなように食べてもそれはすべて筋肉になると思い込んでいて、実際、若い頃はそれでも大丈夫だったんです。

けれど年齢を重ねるとともに、「胃がもたれるな」とか「胃が重いな」と感じることも出てきましたし、食べ過ぎればてきめんに体が重く感じ体重も増加します。僕はもともと甘いものや揚げ物などが好きで、大阪出身ですからお好み焼きも大好き。だから好きなものばかり食べていたらアスリートとは対極の体型になってしまいます。とはいえ、僕の性格では食事制限するとそれがストレスとなり、練習に集中できなくなってしまいます。そこで、「好きなものを食べたら、その分いつもより多く走ろう」というスタイルでやっています。余計に摂取したカロリー分だけ動いて消費するわけです。また、「体重がちょっと増えたな、体型が変わったな」と自分で変化を感じたときだけ、食事量を制限したり食べるものに気をつけたりして、体を絞る期間を作っています。そういうコントロールの仕方が僕には合っていますね。ただし、今はそうやって練習量によって体型を維持できていますが、年とともに代謝は悪くなるので、これまでと同じ量の練習をしていても太りやすくなっていくはずです。その辺の自分の体の変化には敏感でいなければいけないと思います。

日常の食事では、定期的に糖質制限は行っています。けれど完全に抜くとそれもストレスになるので、あくまでも量を少なめにする程度です。筋肉が落ちないよう意識して摂取しているのはたんぱく質。アスリートとしてどのくらい摂取すればいいのかという具体的な数値もありますが、実はあまりあてにしていません。車いすで生活していると両足を動かすことがありませんから、健常者よりも消費カロリーは少ないんです。だから健常者のアスリートのデータを基に計算された数値をそのまま自分に当てはめると、どの栄養素も摂取しすぎということになりかねません。あまり神経質に考えてはいませんが、注意は必要ですね。栄養士さんに体型維持のためのメニューを組んでもらっているので、夫婦だけのときは妻がそれに沿って作ってくれていました。今は小学生と幼稚園の娘がいるので、家庭での食事は完全に子どもが主役です(笑)。ただこの娘たち、僕と食の嗜好が驚くほど似ているんですよ。僕はねばねばしたものやにおいの強い食べ物は苦手なのですが、子どもたちもそういう食べ物に同じ反応をします。だから逆に、子どもたちに「これ父ちゃんうまいと思うわ、だから食べてみ」と言うとトライするので、アスリートとしても父親としても、好き嫌いを減らさないといけませんね(笑)。

 

無香ココナッツオイルとえごま油がお気に入り

妻は僕よりもずっと健康志向で、もともと料理で使う油はほぼオリーブオイルでした。それに加えて僕がはまったのが、無香ココナッツオイル。最近は毎日コーヒーに入れて飲んでいるほか、妻もスープを作るときはかならず入れるようになりました。先日はバターの代わりにこの無香ココナッツオイルを使ったほうれん草ソテーを食べましたが、余計な主張はせず、けれどほうれん草の素材のうま味をしっかり引き出していておいしかったですね。それからえごま油もお気に入りです。キャベツとトマトというシンプルなサラダに塩コショウとえごま油を加えたら、あまりのおいしさにびっくりしました。僕は野菜も本来好んで食べるほうではなく、体のために食べなくてはという思いで摂取しているところがるんですが、これはいけると。えごま油のおかげで野菜もたっぷり食べられます。

車いす生活になったことで最高の人生になった

2000年のシドニーから4大会連続でパラリンピックに出場してきましたが、2016年のリオは四十肩で断念、悔しい思いをしました。2020年の東京はかならず復活し、ただ出場するだけでなく決勝で世界のトップクラスの選手たちと勝負をし、周囲のライバルたちに「まだ俺、行くぞ」というところを見せたいと思っています。同時に、障がい者スポーツの普及にもこれまで以上に力を入れたいですね。東京パラリンピックで一時的に盛り上がるのではなく、それが恒常的な国になるようにしたいというのが大きな目標です。

僕は高校1年で車いすの生活となり、そこから始まった第二の人生で世界が開けました。歩けなくなったことで背中に羽が生え、世界中に羽ばたけるようになりました。今、最高の人生を送れているので、この競技、この世界に対して恩返しをしたいという思いを常に持っています。だから障がい者となってもこんなに楽しい世界がある、車いすレースという素晴らしいスポーツがあるということを伝えていきたいし、障がいの有無に関わらず、すべての人に幸せに生きられる可能性があるということを知ってもらえるよう、今後も力を尽くしていきたいです。

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