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【インタビュー】歯科医師に学ぶ「口腔環境のこと、食事のこと」~ホワイトニング専門サロン院長・橘 佳苗氏~

恵比寿でホワイトニング専門サロンを経営する橘 佳苗さん。口腔環境を整えることの大切さ、そして歯と密接な関係にある「食」について伺いました。

プロフィール

橘 佳苗(たちばな かなえ)/歯科医師

恵比寿の歯のホワイトニング、デンタルエステサロン『デンタルクリニックビジュー』院長・歯科医師。

5年間大学病院の口腔外科に勤務しながら、一般歯科や審美歯科、ホワイトニング専門歯科などで勤務。

口腔外科認定医を取得した後、大学病院を退職、その後5年間、総合病院の口腔外科と一般歯科で勤務。

歯科・口腔外科の治療勤務は継続しながら、2014年恵比寿で隠れ家ホワイトニングサロン『デンタルクリニックビジュー』を開院。

ホワイトニング専門サロンをオープンして気づいたこと

歯科医になってからの約10年間は大学病院の口腔外科に勤務し、外科分野と歯の治療を行っていました。「普段とちょっと違うことをやってみたい」と思って、週に一度だけ勤めるようになったのがホワイトニング専門のクリニックです。それまでは特に審美に興味があったわけではなかったのですが、歯が白くなることで笑顔が増えたり明るくなったりという、施術された方の大きな変化を目の当たりにして、ホワイトニング効果の影響を実感しました。同時に「ホワイトニングはしたいけれどクリニックには行きたくない」という方が多いことも知りました。というのも、当時のホワイトニングは痛みを伴ったり効果が表れにくかったりというリスクがあったからです。私自身も歯が沁みやすいので、痛みを伴わず、かつ確実に効果が表れるホワイトニングを模索しているうちに、「ならば自分でやろう」と2014年にホワイトニング専門サロン「デンタルクリニックビジュー」をオープンしました。

当院のホワイトニングは開院当時国内で3台、現在も5台前後しか導入されていないアメリカの最新最速高出力LEDホワイトニングシステム「Cool Bright-Exlimited」を用いています。従来のホワイトニングで痛みの原因となっていた高濃度の薬剤は不使用、かつ低温の高出力LEDを使用しているため熱による刺激も心配ありません。また、初回のホワイトニングでも確実に効果を実感できます。

40代以降の人は、現在は使用されていないテトラサイクリンという抗生物質を幼少時に処方されていた場合、歯が黒くなってしまったり縞のような線が入ってしまったりすることがあります。これは「テトラサイクリン歯」といって、これまではどんなホワイトニングでも効果がないと言われていたのですが、当院はこのテトラサイクリン歯にも対応しています。表面から薬を沁み込ませる薬剤でのホワイトニングでは歯の内側まで薬剤が達しませんが、当院の場合は光でホワイトニングするので、表面着色ではないテトラサイクリン歯や神経を取った歯などの色素も抜くことができるのです。

日本は歯をきれいにしたいという概念が欧米諸国に比べて希薄です。いまだに歯のホワイトニングは芸能人だけがやること、と思っている方も少なくありません。これはお歯黒や口を手で隠して笑うといった文化が影響していると思いますが、歯を白くすると、「歯が白くなる」という事実以上のプラスアルファが非常に大きいという点を私は重視しています。施術を終えた方が本当にうれしそうにいつまでも鏡を見ていたり、口を開けて笑えなかった方が満面の笑みを浮かべたりといったシーンに何度も遭遇しているので、白い歯になることは人の内面まで変える力があるのだと感じています。

健康に関する各種セミナーをサロンで開催

サロンではホワイトニング以外に、さまざまなセミナーなどを開催しています。最初に始めたのがスマイルセミナーでした。歯が白くなったことで笑顔が増える方は多いのですが、長年歯を見せて笑ってきていないので笑顔を作れないという方も少なくありませんでした。表情筋は使わないとどんどん衰えてしまいます。とても魅力的な方なのに笑えないのはあまりにもったいないと思い、スマイルセミナーを開催しました。また、ホワイトニングをきっかけに歯を大切にするようになる方も多いので、歯の磨き方のセミナーも行うようになりました。

ホワイトニングのサロンを開いたことで、ホワイトニングは単に歯を白くすることだけでなく自分自身に興味を持つきっかけにもなるものだということを実感し、私自身も歯だけでなく体全体の健康について興味を持つようになりました。たとえば口の中の細菌を整えると腸内細菌も整い全身の健康につながる、などです。そこで注目したのが麹菌です。麹菌は歯周病に効くという文献もあり、自家製麹を作るようになりました。サロンではフレンチ薬膳の教室も開催していて、自家製麹を使った調味料などもそこで組み込んでいきたいと考えています。

フレンチ薬膳というと敷居が高い料理のように思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。私は東洋医学を勉強しているときに漢方を食事に取り入れたいと思ったのですが、そこでたどりついたのが薬膳でした。薬膳というとクコの実やナツメといった、家庭に常備していないような食材を用いるイメージがありますよね。けれどフレンチ薬膳はどんなスーパーでも手に入る食材で作れます。フレンチ薬膳の教室は今後も季節ごとの薬膳を用いて定期的に開催していく予定です。

これらの各種セミナーはすべてサロンで行っているので、いずれも少人数制です。ホワイトニングにいらした方々の健康サロンにできたらいいですね。

歯と食も密接な関係にありますが、「食べ方」の重要性はあまり知られていません。食事と食事を区切らずに常に絶え間なくなにかしら食べている状態だと、口の中が酸性に傾き、酸の作用で次第に歯が溶けてしまいます。食事をして口中が酸性に傾いたら歯を磨いて中性に戻す、そして数時間後にまた食事をしてという繰り返しが理想です。また、しっかり歯磨きができていれば虫歯の天敵である糖も大丈夫ですが、依存性があるとも言われているので健康のためにも取り過ぎには注意が必要です。どんな糖を取るかにも気をつけてほしいですね。私はてんさい糖かきび砂糖を使っています。

歯に着色しやすい飲み物としてはコーヒーや紅茶がよく知られていますが、意外にもハーブティーや日本茶も着色の作用は強いんですよ。色の濃い食べ物や飲み物が着色しやすいと言われているのでつい油断しがちですが、草木染めもありますし、きゅうすなども相当茶渋がつきますよね。一方、カレーも着色する食べ物と言われますが、一般的には飲み物のように毎日摂取するわけではないでしょうから、さほど気にすることはないと思います。

安心・安全な食べ物で健康な体づくり

私自身の食生活で大きな転機になったのは、ファスティングを行ったことでした。ファスティングによってデトックスされた状態の体には質のいいものを取り入れたいと思うようになり、調味料が一新しました。添加物が入っているドレッシングなども一切使わず、オイルとバルサミコ酢、塩といったシンプルな素材でオリジナルドレッシングを作っています。オイルはエクストラバージンオリーブオイルをはじめ、ごま油やえごま油を常備、オリーブオイルだけでも常時3種類ほど使いわけています。そのほかにココナッツオイルやヘンプオイル、トリュフオイルといったフレーバーのあるオイルも常に何種類か使っています。

お気に入りの使い方は、ドレッシングとして使うならオリーブオイルかえごま油。炒め物はオリーブオイルかごま油。卵料理にトリュフオイルをかけたり、タイ料理にココナッツオイルを使ったりするのも好きですね。卵料理にケチャップやマヨネーズを添える方もいますが、それならぜひオイルをたらしてシンプルに塩コショウだけで食べてみてください。

ドレッシングはぜひ自作をおすすめします。使う分だけそのとき作ればいいのでフレッシュですし、添加物の心配もありません。もしも「自家製だと同じ味のドレッシングばかりで飽きてしまう」という場合は、ナッツを砕いて違う食感を加えたり、大葉やバジルなどを刻んで香りに変化をつけたりしてみるといいですよ。

普段の食生活で気をつけているのは、酸化した油が気になるので、市販の揚げ物は買わないようにしています。昔から、市販の揚げ物を食べると発疹が出てしまうんです。ただ揚げ物は好きなので、自宅ではオリーブオイルで揚げ物をよくします。あとは夕食では炭水化物と糖分はあまり取らないようにしていることくらいでしょうか。あまりタブーは作らず、基本的に食べたいものを食べています。

今後の活動ですが、ホワイトニングはこれまで通り継続しつつ、薬膳や漢方など、食や健康に関する活動にもより力を入れていきたいと思っています。このサロンにいらしてくださる方がより健康になる提案をしていきたいですね。

サロンの方針は「安心・安全で確実な効果」。これはホワイトニングだけでなく、食べ物にもあてはまります。口から取り入れた食べ物によって体が作られますから、健康のためにも食べ物は安心・安全なものを選ぶようにしましょう。

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