飽和脂肪酸の種類と特徴②

飽和脂肪酸は鎖の長さ(=炭素の数)によって特徴が異なります。

鎖長が短いと融点が低く、固まりにくくなり、鎖長が長いほど融点が高く、固まりやすい脂肪酸になります。同じ飽和脂肪酸でも、中鎖脂肪酸のM C Tオイルは常温でもサラサラとした液体になり、長鎖脂肪酸を多く含むラードやヘッドなどの動物性脂肪は常温で白く固まります。

中鎖の飽和脂肪酸は体内で効率的にエネルギーになるだけでなく、ケトン体を産生します。ケトン体は肝臓で中鎖脂肪酸を元に作られ、全身に運ばれてエネルギー源になる他、炎症を抑えたり、脳や心臓を保護するなど様々な作用が認められています。

一方、長鎖の飽和脂肪酸は過剰に摂りすぎるとL DLコレステロールが増えることが以前から分かっており、また近年では長鎖飽和脂肪酸によって腸内細菌叢が悪玉菌優位に変化することや、飽和脂肪酸のパルミチン酸は細胞に炎症を起こさせるという報告もあるため、長鎖飽和脂肪酸の摂り過ぎには注意が必要です。長鎖飽和脂肪酸はお肉類に含まれる他、バターやラードなどの油脂に豊富です。

このように、同じ飽和脂肪酸でも、鎖長の短い脂肪酸は体に良い働きを、鎖長の長い脂肪酸は体に望ましくない働きをするので、飽和脂肪酸を一括りにせず、鎖長で選ぶことが大切です。

この記事を書いた人

地曳 直子