植物は脂質を守るために

植物油には、ビタミンEをはじめ、脂溶性の抗酸化物質が多く含まれます。それは、植物がエネルギー源として脂質を溜め込んだことと関連しています。

前回、植物は環境に合わせて貯蔵する脂肪酸を選ぶことを書きましたが、特にシードオイルの場合、脂質はとても効率の良いエネルギー源のため、種をコンパクトに出来るというメリットがありますが、不飽和脂肪酸を蓄えると酸化リスクも高まります。

種が土に落ちてから発芽するまでの数ヶ月、場合によっては半年ほど、種のままでじっと待たなければなりません。その間に、毎日紫外線を浴びる種は、自分の中の不飽和脂肪酸を守るために、抗酸化成分であるビタミンEやポリフェノールも一緒に蓄えているのです。

このように、シードオイルの原料である種には、ビタミンEが豊富なものが多いので、原料をそのまま圧搾したオイルには、ビタミンEもそのまま含まれるのですが、溶剤抽出法で製造したオイルは、製造過程でビタミンEが大幅に減少します。

植物の恵みをそのままいただくために、オイルを選ぶ際には製造方法も意識したいですね。

この記事を書いた人

地曳 直子