ビタミンEを守るために

ビタミンEは、植物が自分を酸化から守るために作り出した抗酸化物質で、それを私たちが食べることによって、体の中でも抗酸化力を発揮して酸化を防いでくれるのですが、では、ビタミンEはどのように酸化を防いでいるのでしょうか?
それは、酸化の原因となる光や酸素と、ビタミンE自身が反応して酸化することで、脂肪酸などの他の物質の酸化を防いでいるのです。なんだか健気ですね。

油の酸化というと、揚げ物など熱による酸化や、開封後に酸素と触れることで起こる酸化をイメージする方が多いと思います。でも実は、油脂の酸化は光酸化から始まります。光のエネルギーによって生成される一重項酸素によって酸化される反応です。これは、油脂を開封していない状態でも起こります。この光による酸化を防ぐのがビタミンE。ビタミンEのお陰で不飽和脂肪酸の酸化は防げるのですが、同時にビタミンEは酸化してしまいます。実際、未開封の米油を自然光の入る場所で半年間放置した実験で、ビタミンEが1割減少することが分かっています。ビタミンEが減少した油脂は、その後、酸素に触れたり加熱した時の酸化スピードが早まってしまいます。

光酸化は、お店に陳列されている時から起こりうるので、出来るだけ遮光瓶のものを選ぶこと、もし遮光瓶でないものを購入した場合は、保存する際にアルミホイルを巻いたり、光の当たらない冷暗所で保存することで防ぐことが出来ます。

せっかく植物が作り出してくれたビタミンE。光から守って、出来るだけ有効な形で取り入れたいですね。

この記事を書いた人

地曳 直子